美木の願いを受けて安田たちは、このまま魔本を封じてしまえば少なくとも「男でも女でもない」状態からは脱出できる、「女ならば選べる」とめぐを説得します。 女は選べる。俺… 俺は… エ――ト…
真の記憶の影響で混乱しているめぐは、この説得に迷ってしまいます。そんなめぐを見て小悪魔が再度現れます。
「で、どーする?恵ちゃん。」
この小悪魔のセリフの瞬間からめぐの様子がおかしくなる描写が続きます。鼓動が高まり、呼吸が乱れているのです。
「何を悩んでる?男か女かどちらを選ぶ?封印なんかする事ないョ。」
なんで…なんで俺は悩む…
「さァ!希望を聞こう、どちらを望む?戻るか戻らないのか?悩むことはないだろう。」
わからない…なんでわからない!?どっちに…男に戻る!?
「どうするんだ? 答えろ。」
戻る…変だ…俺が…男に?
源造が怒り始め小悪魔が源造の相手をするようになって以降、めぐは元に戻っていることから、この描写が続いている間に小悪魔がめぐの無意識下に忍び込んで何かをしているのはほぼ間違いないと思われます(後の第115章『安田VS小悪魔』において、小悪魔が安田の無意識下に忍び込もうとする際に似たような描写があります)。具体的に何をしているのかの明確な答えは描かれていませんのであくまで憶測の域は出ませんが、小悪魔には人の心を外側から直接読む能力がないため(この辺については小悪魔の能力も参照)、めぐの無意識下に忍び込むことで現在のめぐの精神状態を探り、現在のめぐの「男として美木を守る」という想いの強さを、つまり願いが叶いそうかどうかを探っていたものと思われます。ここで、小悪魔はめぐの想いが本物、つまり願いに届きそうであるのと同時に、無意識下の女としてのめぐの影響で完全ではないことを感じます。そこで、小悪魔が考えた方法は、めぐを騙すことでした。
「ごめん、実はもう選べないんだ。残念ながら私にはそんな強大な魔力はないんだ。
あれから6年が過ぎた。そんなに長く自然の理に逆らう事はできない。
君はもう元に戻るしかないんだ。そう遠くはない…あの学校に通っているウチに戻るだろう。」
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