人気の数値化〜実用編〜                  Last Update 2008/03/26

このページは以前公開していた 『人気の数値化〜実用編〜』 を大幅に書き直したものです。

 『人気の数値化』で右1を決める人気を実用範囲で数値化することに成功しました。 (このページは『人気の数値化』を読んでいなくても読めるようになっています。 あのページは個人的満足を追求してまとめたページで 多分あれを読むのはかなり時間とエネルギーがかかるでしょうから^^;) ここでは、この数値を実用的に利用する方法を具体的に見ていきましょう。

※要注意
 このページのSP決定方法が100%正しいという保証はどこにもありませんので、あくまで目安としてご利用ください。このページの方法に従って、有望な馬を切ってしまったとしても僕は一切責任を負えませんのでご了承ください。 とにかく怪しい馬は全て仮育成するのが基本です。
 なお、もしこのページの方法に矛盾するような結果を確認されましたら、掲示板に書き込んでいただくか、こちらまでご連絡いただけると助かります。

人気の基本的な考え方

 自分の馬の人気(右1)の決定条件となるのは基本的に 戦績、血統、騎手、7月1週になった瞬間のSPの現在値、牡牝の違い という5つの条件と考えられます。 特に右1チェックとして人気を使用する場合は、 通常デビュー戦でチェックするでしょうから戦績は無視できます。 また、血統人気としては 実際は繁殖牝馬と種牡馬の人気が両方反映されていると思われますが、 使用する繁殖牝馬をすべて未出走に統一しておけば 繁殖牝馬の人気もまた無視してかまわないでしょう。 (母父種牡馬については これまでの実験から人気には影響してないと考えて問題ないと思われます。) 以上から右1チェックにおいては 以下の4つの総和が右1として反映されると考えて差し支えありません。

(1)種牡馬人気
(2)騎手人気
(3)7月1週になった瞬間のSPの現在値 *
(4)牝馬補正

*
「7月1週になった瞬間」という言葉がポイントで、 SP調教した結果が右1として反映されるのは6月4週の調教までです。 したがって、よく言われるように6月4週のSPの現在値が 人気に反映されると考えて基本的には問題ないのですが、 7月1週以降デビューの晩成の場合においては 6月4週時点のSPの現在値ではなく 7月1週になった瞬間のSPの現在値が人気に反映されるため (ただし、この場合もやはり7月1週の調教の結果は人気に反映されません)、 これらをまとめて表現するために「7月1週になった瞬間」 という言葉を使用しています。 これについての詳細は『人気の数値化』ページの ここを参照してください。

 さて、『人気の数値化』によって(1)と(2)と(4)は既にほぼ数値化されています。 (ただし内部数値そのものは分からないので、 実験的に分かるSP調教に換算した値として算出されています。) 残っている(3)については分かりません。 が、これは当然のことです。 そもそも、右1チェックの目的は基本的にこの数値を推測するのが目的なのですから。 つまり、この(3)に関する情報を調べるのが右1チェックの本質的な内容なのです。 (遅普通以降はデビューOK時点のSPがSP最大能力値の半分となるため、 (3)の数値から自動的にKSPが決定できるというわけです。)

右1チェックの定式化

 以下、記述を簡潔にするために、

種牡馬人気値(SP換算値)=S(Stallion Value)
騎手人気値(SP換算値)=J(Jockey Value)
7月1週になった瞬間のSPの現在値=X(未知数)
ライバル馬の右1値(SP換算値ではない)=R(Rival Value)
牡牝の人気補正(SP換算値)=α(牡馬のときα=0、牝馬のときα=4)

と表すことにしましょう。そして、

自分の馬のSP換算合計人気値=S+J+X−α

とすることにします。

 さて、右1チェックは上述した(3)に関する情報を どのようにして求めているのでしょうか?  そこで原点に立ち返って右1チェックの方法を思い起こすと、 ライバル馬の右1と自分の馬の右1を比較するのがポイントでした。 (実はライバル馬の右1についてもまた『人気の数値化』によって いくつかの馬の人気が既に数値化されている!) つまり、自分の馬のSP換算人気合計値、つまりS+J+X−αと ライバル馬の人気値との大小関係によって 右1の大小関係もまた決定されると考えられるわけです。 しかし、厳密にはSP換算人気値は そのまま右1の内部数値(以下これを右1値と呼ぶことにしましょう)に 直結していないようでSP換算人気値と右1値の間には

右1値=SP換算合計人気値÷2(四捨五入)=(S+J+X−α)÷2(四捨五入)

という関係が成立しています。 (上述したRはライバル馬の人気値ではなく右1値と書かれていたことから分かるように、 SP換算値ではなくこの右1値になっています。) なお、ライバル馬の右1値Rは馬体重によって次のように変動することに注意してください。

ライバル馬の馬体重が±10kg以上の場合はライバル馬の右1値は−1される

 さて、当然ながら右1印の大小関係はこの右1値の大小関係によって決定される、 つまり、自分の馬の右1値=(S+J+X−α)÷2(四捨五入)とライバル馬の右1値=Rとの 大小関係がそのまま、右1印の大小関係として反映されるわけです。 ただし、(S+J+X−α)÷2(四捨五入)=Rの場合、 つまり、自分の馬の右1値=ライバル馬の右1値の場合には 基本的にライバル馬の右1の方が厚くなることに注意してください。 (これについて詳細なことを知りたい方は 『人気の数値化』ページの こちらをご覧ください。)

 以上のことをまとめると、右1値Rのライバル馬と右1を比較する場合、

自分の馬の右1の方が厚い ⇔ (S+J+X−α)÷2(四捨五入)>R  ・・・(1a)
ライバル馬の右1の方が厚い ⇔ (S+J+X−α)÷2(四捨五入)≦R ・・・(1b)

となります。

 ここで、右1チェックの際に我々が知りたいのは自分の馬のSPに関する情報、 つまりXに関する情報なので これらの関係式をさらにをXについて書き換えていくことにしましょう。 まず、

(S+J+X−α)÷2(四捨五入)>R⇔S+J+X−α≧2R+1⇔X≧2R−S−J+α+1
(S+J+X−α)÷2(四捨五入)≦R⇔S+J+X−α≦2R⇔X≦2R−S−J+α

となる*ことに注意しましょう。 すると、先ほどの関係は次のように書き直すことができます。

自分の馬の右1の方が厚い ⇔ X≧2R−S−J+α+1 ・・・(2a)
ライバル馬の右1の方が厚い ⇔ X≦2R−S−J+α  ・・・(2b)

 この関係を用いれば、自分の馬とライバル馬の右1比較から Xという自分の馬のSPに関する情報を引き出すことが可能になります。 これは右1チェックの内容そのものですから、 つまるところ、この関係が右1チェックの本質的な内容を定式化したものなのです。

*
(S+J+X−α)÷2(四捨五入)>R ⇔ S+J+X−α≧2R+1 について説明すると、
(S+J+X−α)=2Rのときは 左辺=2R÷2=Rとなるので、
(S+J+X−α)÷2(四捨五入)>Rが成立しませんが、
(S+J+X−α)≧2R+1のときは 左辺≧(2R+1)÷2=R+0.5=R+1(四捨五入より) となって、
(S+J+X−α)÷2(四捨五入)>Rが成立するからです。

遅普通以降の場合

 このようにして右1チェックの作業の本質が定式化されたことによって、 右1チェックがより統一的な方法で利用できるようになります。 つまり、従来の右1チェックでは、 種牡馬に応じてライバル馬のラインを検証し直さなくてはいけませんでしたが、 既に種牡馬人気値Sが分かっているため、もうその無駄な労力は必要なくなるのです。 遅普通以降の成長型の産駒の右1チェックの場合を具体的に見れば この統一性が分かってもらえると思います。

 まず、遅普通以降の成長型の特徴はデビューOK時点でのSPの現在値が その馬の完成SP値(KSP+35)の半分(小数切り捨て)というところにあります。 したがって、遅普通以降の成長型の馬のうち 7月1週以前にデビューOKコメントの出る馬については、 Xの値がその馬の最大SP値の半分になります。つまり

X=(KSP+35)÷2(小数切り捨て) ・・・(3)

また、もし7月2週以降デビューOK産駒であっても、 6月4週までにSP調教をすることによって 7月1週にデビューOKコメントが出るように調整してやれば、 やはりXの値が(3)のようになります。 したがって、右1チェックによってXを決定してやれば、(3)を解き直して、

KSP=2X−35(or34) ・・・(4)  ((3)の小数切り捨ての影響で1の誤差が許容されます)

と決定できるわけです。 したがって、前章で導いた関係式(2a)(2b)を(4)に代入してやれば、自分の馬の右1の方が右1値Rのライバル馬の右1より厚い場合は

KSP=2X−35(or34)≧2(2R−S−J+α+1)−35=2(2R−S−J+α)−33

同様に、右1値Rのライバル馬の右1の方が自分の馬の右1より厚い場合は、

KSP=2X−35(or34)≦2(2R−S−J+α)−34

となります。まとめると、

遅普通以降の成長型の場合
(ただし、7月2週以降デビューの馬については 7月1週までにデビューOKコメントが出るようにしてやる)
 右1値Rのライバル馬と右1を比較して
自分の馬の右1の方が厚い ⇔ KSP≧2(2R−S−J+α)−33  ・・・(5a)
ライバル馬の右1の方が厚い ⇔ KSP≦2(2R−S−J+α)−34 ・・・(5b)

と定式化できるわけです。 ここで、Sは種牡馬人気値、 Jは騎手人気値、 Rはライバル馬の右1値として 既に『人気の数値化』によって数値化されているので、 あとは、自分の馬の配合と騎手と右1用のライバルとの比較から 容易にKSPの範囲が決まるわけです。 遅普通の産駒を例に具体的にその様子を見てみましょう。


Highest Honor産駒牡馬の場合
 後藤騎手を乗せて±8kg以内のローランネプチュン(岡部)から右1を奪ったとしましょう。 このとき、各表より種牡馬人気値S=8、騎手人気値J=6、牡牝補正α=0、ライバル馬の右1値=33です。 自分の馬の方が右1が厚かったことから、(5a)にこれらの値を代入してやると、

KSP≧2×(2×33−8−6+0)−33=71

となって、KSP71以上が確定することが分かります。  あらゆる配合について、全く同様にして統一的に右1チェックが可能です。 フローチャート的にこれらの関係を把握できるように ライバル馬の右1値別にKSP確定用の表ライバル馬五十音順版)を作成しましたので、 あとはこの表から自分の配合と切りたいKSPラインに応じて 適当な騎手をセレクトし 適当なライバル馬が出現するVTRを探し出してやるだけでよいのです。 以前のようにいちいち配合別に右1ラインを検証し直す必要はなくなったのです。

早普通以前の場合

 遅普通以降の成長型は7月1週になったSPの現在値XとKSPが (4)によって直接的に結びついているのが大きな特徴で そこから右1とKSPの関係(5a)(5b)が導出されました。 一方、早普通以前の成長型においては、 XとKSPが直接結びついていないのでこのようにはいきません。 早普通以前の成長型では再び(2a)(2b)の関係に戻らないといけません。 しかし、早普通以前の成長型においてもXとKSPが全く関係していないわけではありません。 と言うのも、早普通以前の成長型においては次のような関係が成立していると考えられているからです。

早普通では初期SP値が完成SP値(=KSP+35)の50〜59%(小数切り捨て)
早熟型では初期SP値が完成SP値(=KSP+35)の60〜69%(小数切り捨て)
超早熟では初期SP値が完成SP値(=KSP+35)の70〜79%(小数切り捨て)

早普通以前の成長型では自然成長が起こりませんから、 何も調教をしない限りこの初期SP値が そのまま7月1週になった瞬間のSPの現在値Xとなることに注意しましょう。 また以下では、早普通以前の各成長型の完成SP値に対する初期SP値の割合の最小、最大を それぞれm、Mと表すことにしましょう。 例えば、早熟ではm=0.6、超早熟ではM=0.79となります。 以上から、上述した関係は以下のように定式化できます。

X÷M(切り上げ)≦KSP+35≦X÷m(切り上げ)+1*
⇔X÷M(切り上げ)−35≦KSP≦X÷m(切り上げ)−34
 ・・・(6)

*
掛け算の切り捨てを逆算して割り算にすると基本的には切り上げになります。
例えば、83×0.64(切り捨て)=53.12(切り捨て)=53
ここから逆算して53÷0.64(切り上げ)=82.8125(切り上げ)=83
となって、元に戻れるわけです。
しかし、このようにうまくいかない場合も多々あって
例えば、83×0.65(切り捨て)=53.95(切り捨て)=53ですが、
この切り捨てで得られた53から逆算してやると、
53÷0.65(切り上げ)=81.53…(切り上げ)=82 となって、+1のズレが出てきます。
このように掛け算の切り捨てを逆算して割り算にすると
+1の誤差が許容されるので右側の不等式関係では+1が加わります。
(左側の不等式では下限を求めているのでそのままでOK。)

 この(6)のKSP範囲を利用すれば、 右1値Rのライバル馬との右1チェックから 自分の馬の最低KSPや最大KSPが分かります。 まず、自分の馬の方が右1が厚かった場合を考えましょう。 この場合、(2a)からX≧○○という関係が求まるわけですから、 (6)の関係のうち前者を利用してやればよく、

KSP≧X÷M(切り上げ)−35≧(2R−S−J+α+1)÷M(切り上げ)−35

となります。同様に、ライバル馬の右1の方が厚かった場合は、

KSP≦X÷m(切り上げ)−34≦(2R−S−J+α)÷m(切り上げ)−34

となります。以上のことをまとめてやると、

早普通以前の成長型の場合
 右1値Rのライバル馬と右1を比較して
自分の馬の右1の方が厚い ⇔ KSP≧(2R-S-J+α+1)÷M−35(切り上げ)
 ・・・(7a)
ライバル馬の右1の方が厚い ⇔ KSP≦(2R-S-J+α)÷m−34(切り上げ) ・・・(7b)

と定式化できます。しかし、実はこれはそこまで有益な情報となりません。 具体例を見てもらえればそのことはよく分かると思います。


ブラダン配合の早普通型産駒牡馬の場合
 ▲蓑島騎手を乗せて±8kg以内のマチカネタロー(柴田善)から右1を奪えて ±8kg以内のクロスヘッド(岡部)からは右1を奪えなかったとしましょう。 この場合、S=5、J=0、α=0で、早普通なのでM=0.59、m=0.5です。 R=31のマチカネタロー(柴田善)から右1を奪えたことから(7a)より

KSP≧(2×31−5−0+0+1)÷0.59−35(切り上げ)=63.30…(切り上げ)=64

となります。一方 R=32のクロスヘッド(岡部)には右1を奪われたことから(7b)より

KSP≦(2×32−5−0+0)÷0.5−34(切り上げ)=84

となって、先ほどの条件と合わせると、64≦KSP≦84となります。 しかし、これでは考えられるKSPの範囲があまりに広すぎて全然役に立ちません。 しかも、今回の場合は、右1を奪えたライバル馬と右1を奪えなかったライバル馬との右1値の差が最小の1で、 右1チェックからXの範囲を絞り込むには最も厳しい条件になっていたにもかかわらずです。

 この例から分かるように、早普通以前の成長型では初期値のブレが大きすぎるために 3歳7月1週時点でのSPの現在値が分かったとしても、 この段階ではKSPは幅広い可能性が考えられて、 実際的に嬉しい情報はせいぜい、 少なくともKSPは○○以上ということが分かることくらいしかありません。

藤枝チェックとの併用〜他牧場生産牝馬の能力確定〜

 先ほど見たように、早普通以前の成長型では 右1の情報からだけではKSPがほとんど絞れないのですが、 藤枝チェックと併用することでこの情報は有効に利用できます。 例えば、繁殖生産などで他牧場生産牝馬を利用する場合は BC登録できないためにKSPを確定しにくいという問題があります。 遅普通以降の成長型においては この問題は藤枝チェックなるチェック方法を利用すれば解決されるのですが (この方法や藤枝チェックの詳細はこちら)を参照)、 実は早普通以前の成長型においても 右1比較によって(2a)(2b)の関係からXの値を絞り込んで、 さらに藤枝チェックを組み合わせることによって KSPを決定することが可能になるのです。 これについてはくどくど説明するより具体例を見てもらった方が早いでしょう。


・クリエイター(種牡馬人気値S=3)産駒
・牝馬(牡牝補正α=4)
・SPコメントは2月1週
・成長型は早普通
・藤枝チェック41本で完成

この馬に▲蓑島騎手(騎手人気値J=0)を乗せると、 ±8kg以内のレオリョウコウ(後藤)(右1値=29)から右1を奪えて、 ±8kg以内のマイネルトリック(的場)(右1値=30)から右1を奪えなかったとしましょう。 このとき、(2a)(2b)の関係から

X≧2×29−3−0+4+1=60
X≦2×30−3−0+4=61

となって、X(早普通なのでつまり初期SP値)=60or61となります。 そして、藤枝チェックによって初期SP値から41本SPすることによって 完成SP値に到達することが分かるので、

完成SP値=60or61+41=101or102
∴KSP=完成SP値−35=66or67

最後に、2月1週にSPコメントされていたことから KSPは67ではなく66と決まります。

 ・・・まぁ繁殖牝馬の能力決定だけのために こんな面倒な方法をわざわざ誰がするんだという話なんですが^^;  しかし、この右1チェックと藤枝チェックとの併用を侮ることなかれ。 早熟産駒の多いフォティテンの場合は、 この方法に熟練していけば 右1チェック、藤枝お任せ調教パターンの変化時期から BC登録しなくても仮育成途中の段階で かなりの精度で能力を見極められるようになるのです。 慣れてくれば、2歳秋〜冬の時点で二回り↓はほぼ確実に、 一回り↓もだいたい見極め可能という感じで 駄馬を切る効率はかなり上がります。

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