最後に
 まず、この作品を考察するにあたって苦労したことをいくつか。一番最初に頭を悩ませたのは、小悪魔がどこまで力を使っているのかということでした。当初は源造の記憶も小悪魔によって封じられているのではないのか、桂子がめぐを憎むのも小悪魔の力なのではないのかといろいろ考えたのですが、こういった小悪魔の力がなくても説明が可能な部分は、なるべく小悪魔から離れて、どうしてもその仕組みが説明できずに、かつそこに何らかの小悪魔の意図があることを説明できる場合にのみ小悪魔の力が働いていると考えるように心がけました。

 ただ、そうやって考えても最終的にどうやっても説明できなかったのは源造がめぐのことを思い出す仕組みでした。ここにも書いたように、前後の流れからその伏線になっているであろうシーンまでは特定できても、その伏線の意味は最後まで分かりませんでした。どなたかお分かりになる方がいらっしゃりましたら、こちらまでご連絡いただけると助かります。(実際は単に最後でめぐの明かされるエピソードのページ数との兼ね合いで、この伏線を回収する余裕がなかっただけなのかもしれませんけど^^;)

 続いて苦労したのは、美木の約束のところの2つ。一つは美木が約束にこだわる理由。正直私は彼女の考えがいまいち理解できず、なぜそんな約束にこだわるのかさっぱり分かりませんでした(一応最終的には当時の彼女の心理を私なりに矛盾のない解釈をしたつもりなんですが、正直あんまり自信がありませんねぇ・・・^^;)。で、もう一つはその美木を説得する言葉がめぐの口から出てこなかった理由。めぐはあれだけ「何があっても美木を守る」と強く誓っていたわけですから、単純に美木の言葉に圧倒されてそれに反論する言葉を思いつかなかったとは考えられないんですよ。となると、魔本関連の力の影響としか思えないんですけど、それを裏付ける材料がほとんどないに等しく作品全体の流れから推測する以外の方法はありませんでした。

 で、一番苦労したのはここに書いた牢屋でめぐが倒れた理由でした。この作品の描写方法の特徴から、小悪魔絡みの何らかの力が働いていることははっきりと分かるんですけど、なかなかこのシーンと外伝とを結びつけるという発想が出てこなかったんですよ。ホントに分かってしまうとなんてことはないんですけど、そこになかなか気付かないのはまさにコロンブスの卵ってヤツでしょうか。(普通の人はすぐ気付くものなのかもしれませんが^^;)

 他にも分かりにくいシーンはいくつかあったと思うんですけど、特に印象に残っているのはこの辺りでしょうか。確かにこの作品は分かりにくい描写が多いんですけど、それらは基本的には前後から推測できるようになっているんですよね。そういう意味ではこの作品は極めて論理的な作品と呼べるんじゃないでしょうか。例えば、めぐが源造にキスすることを決断した心理なんかも、「さっきのはオメーが何もわかってねーアホだからしたの!」という最後のセリフと、キス直前の源造の「めぐの勝ち、男勝負は。」からだいたい想像がつくようになっているわけです。無駄なセリフを極力省きつつもしっかりキャラクターの心理を伝えるのはホント上手いなぁと思います。

 さて、『天使な小生意気』に感動するあまり、その勢いでHPまで作ってしまったわけですが、今になって冷静に考えてみるとちょっと勢いに任せすぎたかなぁ・・・とも思ってしまいます。私は、おそらく一般的なこの作品の見方であろうジェンダーではなく(もちろんジェンダー的側面を全く無視しているわけではありませんけど)、「絶対」と「信念」という2つのキーワードでこの作品を解体・再構築したわけですが、ちょっとこのキーワードにこだわりすぎたかなぁ・・・と自分でも思いますしね。

 ただ、確かに私のこの作品の見方はかなり特殊で、もしかしたら単なる私だけの思い込みなのかもしれませんが、そんなことはどうでもいいのです。なぜなら私がこの作品から得たものは真実にほかならないからです。そして、それこそが私がこの作品から学んだ「信念」のあり方なのですから。

トップページ